2010/10/30

全国CDショップ店員組合

先日の記事を書くために、インターネットでいろいろ調べていたら、「全国CDショップ店員組合」なるものがあることを知りました。

CDが売れない時代に、音楽カルチャーの発信源としてのショップ・ショップ店員の存在を輝かせるためにがんばろう、ということのようです。全国のショップ紹介連載(まだ第1回ですが)などもあり、面白いサイトです。

ぜひ立ち寄ってみてください。

http://www.cdshop-kumiai.jp/

です。

2010/10/29

音楽恐慌?

昨日、HMVジャパンがローソンに買収される、というニュースがありました。

HMV渋谷の目と鼻の先にあったタワレコは、すでにセブンアンドアイHDが筆頭のドコモに次ぐ大株主になっています。もちろん、コンビニとCDショップが一体化する、というわけではないでしょうが、何やら音楽業界の運命、というか命運を象徴しているような気がしてなりません。

コンビニ経営の鉄則は「売れるものだけ置く」ということです。「この銘柄はあまり売れないけど好きな人がいるから置いとこうか」みたいなことはないですよね。
逆に、「売れるものを置く」のではなく「売りたいものを置く」・・・そんな音楽カルチャーの発信源の一つになっていったCDショップの象徴がHMV渋谷店でした。僕はあまり聴きませんが、いわゆる「渋谷系」なんてのがそうです。

曽我部恵一というミュージシャンが、「今はもうそんなことが許される時代ではなくなった」と話していました。消費不況の時代、資本の集中を余儀なくされたレコード会社も販売店も、株価を上げることがほぼ唯一の評価基準になり、確実に利益をあげることが最優先にされ、つまり「確実に売れるものを置く」ことを強制され、店としての個性が置き去りにされた、というわけです。まさにコンビニです。

先日、メーカーにとってはドル箱もドル箱の宇多田ヒカルが「人間活動に専念するため」と無期限休養宣言をしました。
15歳で文字通り鮮烈なデビューを果たし、数々の売り上げ記録を塗り替えたトップアーティストが「人間活動」のために音楽生産を封印する…音楽は人間的なものじゃなかったの? という疑問を多くの人が感じた出来事でした。

これはいわば生産の破壊。
流通に生産が呑み込まれ、やがては生産そのものが破壊されていく…これは一種の恐慌ではないでしょうか?

結局、音楽生産の崩壊の裏には、「芸術と人間性の乖離」がある、ということなのでしょうか?
(つづく)

ニシエヒガシエ



縁あって、松戸の太鼓チームのお手伝いをさせていただくことになりました。

僕の師匠・仙堂新太郎氏の太鼓教室に通っていたときアシスタントをしていた藤野佳代ちゃんが指導していたところで、彼女が日本を離れることになり、お鉢(?)がまわってきたわけです。

彼女の卓越した指導と人間的魅力に集うチームに対して、僕に如何ほどのことができるかわかりませんが、多くの人に太鼓を親しんでもらいたい、という情熱と足跡を少しでも受け継いでいきたいと思います。

というのは、件のチームはいわゆる「ママさんチーム」で、子育てをしながら太鼓ができるように、と立ち上げた経緯がある、と伺ったからです。
僕が職業演奏家の道を選択しなかった理由の一つは、文化・芸術はみんなのもの、むしろ市井に生きる多くの人間が担ってこそほんとうの力を発揮する、という強い信念を持っているからですが(信念があるというよりも、それを阻むものが多すぎる、という気持ちですが)、まさにそれを地で行く活動をやっておられるので、お手伝いできるならありがたい、と思った次第です。

先日、そのチームや界隈のチーム、佳代ちゃん、「北の国から」のギターで知られる坂元昭二さん、おなじみ松尾慧さんなど、プロ演奏家も招いた音楽会があり、友情出演をさせてもらいました。子どもたちもガヤガヤとくつろぎながら(?)楽しむ、お祭りチックな雰囲気が心地よいものでした。

これで僕の活動範囲も一都三県に。どうも絶妙なところに住んでいるようです(笑)。

2010/10/27

素材で勝負! The Verbs



(ライブレポ 2010.10.26 SHIBUYA-AX)

奥田民生が正メンバーとして加入したThe Verbsの二度目の来日公演です。
3月にSteve Gaddを見たので、今年は「世界のW-Steve」を見たことになります。

前のブログが消えちゃったので再録?しますが、ドラムのSteve Jordanは、「8ビートを演奏するために生まれた人」というより、「8ビートはこの人のために生まれた」と言ってもいいくらいで、今回のライブでもその神様ビートは健在でした。

2度目のツアーということもあり、適度にダラけた(民生のギターはちょっと各曲の出だしが雑でしたが)大人のロックを、バンドも観客も堪能していた感じです。「技より腕」で、「曲より音」で、料理で言うなら「素材で勝負!」なライブでした。

説得力あるハイハットで引き締めながら、胴の音、生音の響きを重視したドラミングと民生の酒くさーいギターリフ、ennuiなミーガンの歌、それらすべてを一本に結びつけ、低空飛行のグルーヴにまとめ上げるピノのベース・・・8ビート大好きな僕にとっては至福の時でした。

派手な曲はなかったので燃焼しきらなかった部分もありますが、くすぶった木杭を胸にしまって日常に復帰するのもまた、乙なものです。

そうそう、ミーガンが民生を「Mr. Rock'n Roll !」と紹介していました。だよね!



2010/10/26

出会い系?



少し前になりますが、HMVの旗艦店であった渋谷店が閉店しました。

以前渋谷につとめていたことがあり、「HMV派」(近くにタワレコもある)を自負していた僕は、新品CDはHMVで買う、と決めていたのでよく足を運びました。

この店でかかっている曲を聴いて、お気に入りになったアーティストはたくさんいます。
いま思い出すだけでも、Boom Boom Satellites,Asian Dub Foundation, SUM41,Fireballなどなど・・・。
僕にとっては大事な出会いの場でした。

なくなってみて思うのは、音楽・芸術は「出会い」だなあ、ということ。作品が人格の投影であれば、当然かも知れません。
偶然の積み重ねでたまたま聴いた曲、知り合ったアーティスト・・・運命の歯車が一つ違えば、一生出会うことはなかったかも知れないし、つまりは今とは違う自分になっていたのでしょう。

「音楽不況」と言われて久しいですが、インターネットも含めて音楽が売れなくなっているようで、店舗型販売の黄昏は店舗だけの問題ではないようです。

大量消費型の音楽生産が作品から創造性を奪って質を貶め、めぐりめぐって売れなくなってきているのだとしたら、何とも悲しい限りです。