2011/06/28
でっかくなったぜチャットモンチー
ネタバレ注意です。
自分たちのやりたいことが大好きで、自信を持っているのがよくわかるライブでした。
今回のアルバム『YOU MORE』は初のセルフプロデュースで、とにかく難しいことを考えず楽しくやろう、というのがコンセプトだったようです。ライブでも語っていましたが、「こうでなきゃいけない」「こうしてやろう」というような、ヒットメーカーなればこそのくびきと重圧から解放されて、欲求の赴くままに雑多な音を鳴らした、という観が確かにあります。ベースの福岡晃子も「聴いて感じたままのアルバムです。それ以上の意味はない」と断言していました。
そしてそれは、ライブを通じて初めて完成したというか、本来の命を吹き込まれたのではないでしょうか。アルバムは一聴して肩の力が抜ける印象で、これまでの「狙い目」路線からすると物足りなさを感じなくもありませんが、実際にライブで聴いてみると、「優しさ」「強さ」「情熱」「切なさ」といった彼女たちの持ち味を巧みに楽曲の血肉にした上で、伸びやかにそれを演奏をしている印象がありました。要するにアルバムで聴くより何倍もいい曲に聞こえた、ということです(笑)
もちろん、見るたびにパワーアップしている彼女たちの演奏力がそれを可能にしているのは言うまでもないことです。
圧巻だったのは本編最後の「余韻」。
終盤にかけひたすら同じフレーズを繰り返す「チャット節」を全開にし、そして怒濤のアウトロへ。これまで見られかかった極太のエネルギーがポップロックの枠を打ち破り、観客はあっけにとられて微動だにできない状態でした。
「余韻を楽しんでください」という橋本のマエ説ではじまったこの曲が終わったとき、果たしてアンコールの拍手をしていいものかどうか、ビミョーな空気観が客席を覆っていました。
ここまでやるなら、いっそはじめに「アンコールなし!」と宣言してやればよかったですね。
外タレ以外でアンコール無し、というのは慣れてないでしょうから、半ば儀礼的にコールしてしまうのもやむを得ないですし。
そういえば昔とある超大物バンドの幻の解散ライブ(解散するはずだったライブ)で「アンコール無し!全14曲!死ぬ気で行くぞ!」と吠えてからはじまったことがありました。
ま、その分アンコールは文字通り「おまけ」的位置づけで気楽に楽しめましたが。
セットリストは以下です。
カップリングベスト発売時のライブを逃し、二度と聴けないだろうと思っていた「バスロマンス」が聴けたのは僕にとってはうれしいサプライズでした。この曲をすすめられて、チャットモンチーをちゃんと聴くようになったので。
あ、「謹賀新年」で和太鼓使ってました(^_^)v
<セットリスト>
01.桜前線
02.レディナビゲーション
03.少年のジャンプ
04.シャングリラ
05.謹賀新年
06.バースデーケーキの上を歩いて帰った
07.草原に立つ二本の木のように
08.青春の一番札所
09.Boyfriend
10.バスロマンス
11.涙の行方
12.染まるよ
13.真夜中遊園地
14.Last Love Letter
15.拳銃
16.余韻
E1.ここだけの話
E2.風吹けば恋
E3.ハナノユメ
(2011.6.22 中野サンプラザ)
2011/06/22
さらば祭衆
僕が学生時代、アルバイトでトラをやっていたプロ集団「祭衆」の無期限活動停止によるラストライブがありました(学生時代、といっても予備校にも入らず太鼓ばっかりやってた浪人生だったので、学生と呼べるかどうかはわかりませんが(笑))。
この日はたまたま中国地方への出張帰りだったので、平日でしたが京都での公演を見ることができました。現メンバーは中嶋真、山内利一、馬渕さおり、松尾慧の4名。これに、元メンバーで現在も各方面で演奏活動をしている中条きのこ、川原崎能弘、小林辰哉、川田貞一、滝本ひろ子、由良英寛の6名をゲストに招いて、総勢10名での演奏。表方裏方で、現役を退いた元メンバーも手伝っていました。
思えば発足から25年。初期にお手伝いをさせてもらったのですが、その後同期の能弘が中心的プレイヤーとなり、共通の師匠である仙堂新太郎氏、そして音楽監督的な役割でメンバーとして音楽性の土台を作り上げていった小林潤ちゃん、山内利一くん、新たなグルーヴを吹き込んだ英くん、さおりちゃん、天上人のような慧さんの笛、余人には出せないまこっちゃんの大太鼓サウンド・・・和太鼓音楽の目指す方向は一つではありませんが、「祭衆」はその1角の頂点にこの25年で立ち至ったように思います。
僕自身は、素人に毛が生えた程度のころに手伝っていただけなので、とくに影響を与えるような存在ではありませんでしたが、その後座長となる能弘を引っ張り込んだことと、当時まだ鼓童しかやっていなかった「担ぎ桶」なるものを見よう見まねでやってみて、「できそうだからやってみよう」と能弘に声をかけたのは、功績かな(笑)。ちょうと20年前の話です。
この日の演奏は、気心が知れていつつも普段合わせていないゲストのメンバーを多数迎えて、ということだったので、若干手合わせ不足な印象もところどころありましたが、それを軽く凌駕する過去最高の演奏を見せてくれました。
それだけに、無期限活動停止する理由が僕ら客から見ればわかりません。
が、あくまで当人たちの決めることなので、それぞれの今後を応援していこうと思います。
(2011.6.3 京都府立文化芸術会館)
2011/06/21
シフコビッチ来日!
この間いくつかライブを見ましたが、そのなかからいくつか感想を。
まずN.J.シフコビッチの来日公演から。
ワークショップを見たことはありますが、コンサートとしての演奏を見るのは初めてでした。
仙堂新太郎師匠の知人である上野信一さんの公演にゲスト的位置づけで参加し、全編シフコビッチ作品の中、何曲か(「リズムの神々への祈り」「ストラー」「ラメント・エ・ダンツァ・バルバラ」他)を自ら演奏しました。
日本が昔から好きだったらしく、震災の困難のなか「絶対に来日する」という固い決意で来て頂いたようです。
洋楽打楽器の世界はよくわからないのですが、とにかく野性の固まりのような人でした。
GONNAが和太鼓で演奏している「ラメント~」も演奏されましたが、洋楽打楽器の世界観はこういうものかー、という気がしました。なるほどそういう意味では、原曲の世界観を表現できているので、原曲らしさに触れられた機会でした。
和太鼓での表現は、作者の意図とは別のところで、より深いというか、古の世界観を呼び覚ますものになってます。楽曲に新しい命を吹き込んだ、ということでしょうか。
もちろんGONNAという水準の高い演奏だから出来る面もあるのでしょうが、僕らもトリオ・パ・ウノを演奏しているので、そういった世界観を探求していきたいと思います。
MCでシフコビッチ氏は、日本への多大な感謝を繰り返し表明していました。(だから日本がたいへんな時に来日して演奏したいのだ、とも)
氏、日本の大使館・領事館・外交官が、文化交流や教育支援のためにいろんな国でがんばっているのを見てきたからだ、といいます。「ユーゴは内戦時に外国=NATOによけいなことされたけど…」みたいなニュアンスの話と比較していました。
仙堂師匠に以前聞いたところによると、外交官の人たちは、文化交流のお粗末な予算をカバーするためにポケットマネーでいろいろと骨を折っておられるようです。国(政府)としてはあまり褒められたモンではないですが、そうした取り組みが喜ばれているのはありがたいことです。
(2011.6.1. 国立オリンピック記念青少年総合センター小ホール)
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