2010/12/08

30年のトップランナー~林英哲~

さすがに圧巻、さすがに林英哲のステージでした。

僕の好みとは少し異なりますが、和太鼓界ではいわゆる「一人打ちスタイル」を築き上げた草分けであり、現在も最先端を行く押しも押されもせぬ第一人者です。
タイコウチの端くれとしてはたまにチェックしとかないと、と思ったのと、通っている床屋の常連さん(ヴァイオリニスト)がゲストで出演される、ということで、久しぶりにソロコンサートに足を運びました。
行ってみて知ったのですが、久しぶりだったのもそのはずで、単独公演は11年ぶりだったそうです。

第1部はセット太鼓中心、第2部は大太鼓中心のプログラムで、第1部は率直にいって面白みに欠けていたうえに、S席なのに演者が見えない局面があり、「がっかりだー」と思っていましたが、一転第2部はこれが60の声を聞こうかという人とは信じられないくらい、圧巻でした。

大太鼓をこれほど楽器として打ちこなしている人、使いこなしている人はいないでしょう。
彼の太鼓(ビートや音)は直線的なので、僕らやそれより若い世代になると、セット太鼓ではもっと揺れや丸みが欲しくなり音楽的な好みは異なってしまうのかも知れませんが、大太鼓はもやは独壇場。見事に手玉にとられた感じでした。

ゲストのヴァイオリン&オルガンとのコラボは、ヴィターリという名前からしてイタリア人?の曲をやりました(僕はよく知りません)。前半は決まった曲に太鼓をあわせてる感じで、大太鼓の魅力がいまいち発揮されませんでしたが、後半、即興(ではないんでしょうが)的な部分にさしかかると、怒濤のような音で会場を包み込む、というか音の飽和状態にします。人の曲を使わずに、最初からインプロで行った方がよかった気がしますが、それにしても、あの齢にして他の追随を許さない大太鼓は見事というほかありません。

読経とのコラボもありましたが、これははじめから期待していたので、ばっちり好みの音楽が聴けてラッキーでした。

というような複雑な感想のステージでしたが、英哲さんの歳を考えるともうあんなものは見られないんでしょうかねー。見ておいてよかったです。
(2010.12.6 サントリーホール)

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