2010/12/20

異色彩のブルース~Ego-Wrappin' with 八代亜紀

「舟唄」が頭から離れないー。
期待していましたが、他の人たちも期待していたらしく(当たり前か)、期待以上に盛り上がりました。

年末恒例の、東京キネマ倶楽部でのライブも今年で10周年、チケット倍率は毎年3~40倍らしいですが、幸運なことにここ数年は毎年行けています。デビュー当初はほんとに取れなかったんですが。

↓Midnight Dejavu 10年の軌跡


10周年と言うことで、本数も前後半合わせて8本、他に大阪とソウルの計10本。前半はゲストを呼んでのステージと言うことで、チケット当選後、ゲストの発表を心待ちにしていました。発表されたとき、意外性はあったものの違和感はまったくなく、あの元キャバレー(キネマ倶楽部は、映画館を改装して作ったキャバレーを改装して作ったライブハウス)で八代亜紀の生歌が聴けるとあり、メールを見て思わず「よし!」とつぶやいてしまいました。

当日、いつも終演が遅いので、予め軽く飲んだあと会場へ。
いつものセットを前にいつもの位置で開演を待っていると、客電が落ち森ラッピンとGoship of Jaxxのメンバーが登場。アニバーサリーイヤーのためか、珍しく森ラッピンのMCから始まりました。「10年やって来られて感謝している」みたいな話のあと、1曲目は「Work Song」、2曲目も「買い物ブギ」と、どちらも大好きなカバーが端から続きます。この辺も自分たちのルーツの提示を意識したのでしょう。

↓キャノンボール・アダレイ


↓笠置シヅ子は「ラッパと娘」がいっちゃん!


そしていつもとは少しまなざしの違うよっちゃん。
目が「どや?どや?」と強く訴えています。どや?と言っても「ドヤ顔」のそれではなく、「私らこんな感じやけどみんなはどう?」という顔。後からわかりますが、そうとう緊張していたようです。それはプラスに作用していましたが。
さらに髪型も盛り盛り。身長だけでも八代亜紀に対抗しようとしたようです(笑)。

中盤、「行くでぇ!」の号令のもと、「雨の慕情」の前奏がスタート。「女神」が姿を見せる前からフロアは最高潮にヒートアップし、よっちゃんがボーカルを取るというネタをかました後、演奏をリスタートさせて本人が登場、最高潮かと思われた会場はさらにヒートアップし、果ては「雨 雨 降れ 降れ もっと降れ」の大合唱に。やはり国民的スター、これぞ国民的名曲、というのを目のあたりにしました。

会場がキャバレーだったクラブシンガー時代の話を前振りに、スタンダードジャズのナンバー「You'd be so nice to come home」をよっちゃんとのツインボーカルで披露した後、まあ「お待ちかね」との表現しかできない「舟唄」へ。この流れの前振りのトークが心を打ちました。

話の流れの中では何気なくスルーしてしまうような話題だったのですが、こんな話でした。
「昔、演歌は〝流行歌〟と呼ばれ、誰もが知っていた。そして毎年、レコード大賞を取るようないい曲が4曲も5曲もあった。その中で『雨の慕情』が一番になった」という話です。
いまの音楽恐慌でもミリオンは出ますし、多くの若い人が知っている歌はもちろん生まれます。しかし「国民みんなが知っている曲、みんなが歌える歌が生まれなくなった」と多くの人が指摘するのも事実なようで、昔はみんなの心をつかむ曲が多くあったようです。
もちろんこれは、音楽の作り方というより、我々の生活スタイルそのものの変化によるところが大きいのだとは思いますが、和太鼓という老若男女に愛される文化に携わる人間としては、世代を超えて親しまれる歌がもっともっと生まれて欲しい、と思います。

「舟唄」で女王が退場したあと、「ブルース対決」ということで「色彩のブルース」へ。大好きな曲ですが、なにぶん「舟唄」の余韻が強すぎて、この曲といえどそれを消すことはできませんでした。次の「サイコアナルシス」でやっとEgoモードを取り戻せた感じです。



アンコールのラストでNat King Coleの「LOVE」をふんわりと聴いて、余韻を感じながら家路へ。
先日のBlues-the.Butcherではほんもののブルースに浸りましたが、今度は日本で言う「ブルース」にその後数日浸り続けることができました。

何やら今年はライブの当たり年のようで、過去最高クラスのアクトが続きました。
これでタイガースが優勝してれば言うことない一年でしたが(笑)
(2010.12.10 東京キネマ倶楽部)

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