2010/12/02

ROCKで踊れ!〜Triceratops〜

どうやら〝踊れるロックの最高峰〟という称号を与えられたらしいTriceratops
実際のところその通りです。タテにもヨコにも揺らせるバンドとしては唯一無二の存在、タテノリの振幅×ヨコノリ振幅の値=ノリの「面積」は、国内最大だと思います。

等身大の詞世界とキャッチーでラブリーなメロディ、それに対置するかのような、ギターリフ主体のコアなロックサウンド。そして何よりも、それらを一つの音楽にまとめ上げる確かな演奏力と野太いクルーヴ…褒めすぎかも知れませんが、数多のバンドに真似できるレベルではありません。

今作『We Are One』はそんな彼らの彼ららしさが全面ににじみ出ている作品です。藤井フミヤMay.J、菅原卓郎(from 9mm Parabellum Bullet)という三組とのコラボがいっそう、彼ららしさを引き立てています。

彼らのライブに行くようになってもう10年ほどになりますが、相変わらずVo.の和田唱は口から生まれたかの如く多弁(≠雄弁)で、しゃべりだしたら止まりません。滔々と「リ、リフってのは…」「ブブ、ブルースってのは…」とハート先行でアツく語るシーンはもはやライブの定番とも言えます。
「半径50cm(の世界しか歌わない)」と言われた1st,2ndから3rdアルバムへ、歌詞の世界観が変化し始めたころから、一貫して「ロックを高みに持って行きたい」と話していましたが、10年経ち「踊れるロックの最高峰」という称号を得て思うのは、「自分の曲を聴いてくれ、俺達を見てくれ」という欲求以上に、「ロックってこんなこともできるんだ!」ということを伝えたい思いの方が強かったのだということです。

奥田民生も「自分とお客さんが楽しめるのであれば、(ライブでやるのが)自分の曲である必要は全くない」とよく言いますが、その無欲さが、逆にみんなに愛される曲をつくることにつながっているような気がします。必要以上の我欲を捨ててこそ、普遍的な芸術の価値に接近できるのかも知れません。

そんな彼らはライブでよく、カバーや名フレーズのメドレー、あるいはインプロヴィゼーションなどをやります。
今回はサプライズでMay.Jが出演したこともあり、ベースソロ、ドラムソロも含めそういうシーンがなかったのはロックファン、トライセラファンとしてはやや物足りないところはありましたが、ライブ自体はアルバムが会心作となったこともあり、お客さんのノリも最高でした。

とにかく、来たとき以上に帰るときに元気になれるのがトライセラのライブですが、それはやはりロックの普遍性を体現しているからだと思います。
(2010.12.1 SHIBUYA-AX)

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